十四部「静かな反骨」
奥深くで滾るもの
sanaka/佐藤好縈
2022.07.30
誰でも
スーパーの片隅、手を強引に引く親と最大の重力をかけてその場に居続けようとする子がいた。
鍔迫り合いのような空気感があった。
その子はただ欲しかったものが手に放らなかっただけかもしれない。
大切な習慣、何かのこだわりに癇癪を起こしていたのかもしれない。
もしあの子の〝頑なさ〟を言葉に変えられる力があったら、あの場は変わった。
もしあの親が周囲など気にせず、子と向きあっていたら、あの場は変わった。
お互いに足りなさが、衝突を起こす。
個人的なプライドであれば、捨てたとしても何度も拾い上げばいい。誇りのような大切なものだったら、静かに反骨精神を立ち上げなければならない。
誇りは、先祖のような〝大切な誰か〟を含むもの。
反骨もまた反抗ではない。横暴で勝ち取れるものなどない。ぐっと奥深くで滾らせながら、その蒸気をエネルギーに変換させて「礼節」を保てる程のボリュームに合わせて、やる。言葉を武器に抗いたいんだ。反骨心を震わせながら連帯できるものたちと、つよい流れに立ち向かいたいのだ。
無料で「sanakaの「そこはかとなき文學」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。
すでに登録済みの方は こちら