八部「汝、没頭せよ」

わすれたときの合言葉
sanaka/佐藤好縈 2022.05.08
誰でも

ぼくの身体が動かなくなるとき、思考の世界によく居る。何かに取り組む前は脳内で仮組みしてから進めてしまうのだけど、実際とのギャップに苛むことは多々。正確性の精度を上げるには、幾度となく現実と脳内を行き来して、ギャップを最小限にまで無くしていくことだと分かっているのに、癖づいた身体がいつも順番を誤る。

ぼくは天才を知ってる。

彼女は、すきなものを抱き抱え、物をスキャンをして、全く同じサイズの刺繍作品を生み出す。もちろん定規は使わない。その様を思い出す度に〝あ、順番がちゃうわ。行動の後に思考だった〟と踵を返して小さな動きから始める。

すきなものを抱き抱えると云う圧倒的な衝動で進める所まで動き、脳内で続きを。そして再開の繰り返し。

最近では「汝、没頭せよ」と自分自身に指令を出して、数多のあれこれを一旦忘れて、取り組む。オードリー若林さんが云う「ネガティブを潰すのはポジティブではない、没頭だ」の言葉も支えとなって、眼前の事柄に全身全霊をもって取り組むのだ。

さて、きょうは何をするんだっけか。

無料で「sanakaの「そこはかとなき文學」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら