五十五部「逆境はうれしい」

座右の銘は、「うっすらずっと奇跡待ち」
sanaka/佐藤好縈 2024.06.06
誰でも

毎月、展示をする。在廊は、いつものこと。毎回、特別な気持ちでそのときを迎える。8月の京都での展示は、過去最大の空間(縦4m×横12m)になった。急遽、そうなった。連絡があって、その半分のスペースを使用する予定だったものが隣も使えることになり、倍にさせてもらった。

9月の福岡での展示は、過去最小の空間かもしれない。大小の物理的な違いはあっても優劣はなく、どう合わせて渦が発生するかを考えれば、どちらもむずかしい。たとえ更に何倍の大きな空間になっても余裕綽々で渦を起こる状態を整えたいから、その筋力をもっているミライのわたしを妄想して逆算した決定を常にしたい。

sanakaは、現象学や民俗学の態度が礎に在り、文化芸術とファッション性が軽やかさと合わさって徐々に前進しているのだろうと感じる。けれど、わたしが知る限り、sanakaが掲載されてるイメージができる雑誌がない。ってことは、知る機会は人伝に聞く他ない。だから、毎月展示をする。

空間にどう集約するのか、わたし自身さえもいまだ読めない。全く分からないことが毎度のお楽しみなのだ。急遽決まって、久し振りにぞわぞわした。それをいつも待ってる。逆境はうれしい。最近の座右の銘は、「うっすらずっと奇跡待ち」である。

PS:訃報を受けた夕方、パラゴンと云う巨大なスピーカーを構えるジャズ喫茶店に立ち寄った。「映画から出てきたような格好だね」と声を掛けて貰って、大音量でジャズを浴びた。なんか、解けていく感触があった。「何年になるんですか」と尋ねると「48年間、何とかやってきました」と答えた。「やり続ける秘訣はありますか?」と尋ねると「人知れず、変わり続けること」と答えた。

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