二部「ルーツ」

センスと云う〝何か〟
sanaka/佐藤好縈 2022.04.17
誰でも

「服はいつから始めたんですか?」と尋ねられると理由を物語るいくつかの話があり、脳内にしまった棚がカタカタと鳴る。

2004年の頃、名古屋市中区の大須から栄に移り変わる交差点を少し歩くと小さな看板だけの「AZY:Z」と云うブランド古着の店があった。

(店を経営していたイワタトシ子さんとは、10年後、不思議な縁で鹿児島で再会した)

19歳だった僕は、大いに影響を受けた。

まず、有名であることに一切興味が持てないことが分かった。さまざまなブランドが並ぶアジールがどんなセレクトするのか、空間の佇まいからルールめいたものを感じた。スタッフの着こなしも一貫した〝何か〟にセンスをみた。

理が土台になっていた。

個の折り合いの集積が理を成していた。

それから、人の佇まいから習慣やルールめいたものを感じ取って何を大切にしているのか、ルーツと服がつながっているのか、観察するようになった。

センスは誰しも備わっているが育てるか否かで、それを阻むのもルーツとなる物語がある筈。

身嗜みが他人のためにするものなら、ファッションは自分のためにするものだとすれば、じぶんの理を磨く所から始まったといえる。

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